葬儀費用や弔事費用は、原則的には相続財産から出してはいけませんが、相続人全員の合意があれば、相続財産から支払うことが可能です。
民法において、葬儀費用や弔事費用を誰が負担すべきかということは特にきまっていません。
そこで、相続人が負担するという考え方や喪主が負担するという考え方、相続財産から支出するという考え方、慣習や条理によって決まるという考え方などがあります。
|
|
 |
ただ、葬儀費用や弔事費用は、相続があってから発生する費用なので、相続財産(債務)にはならず、相続財産から支出することは当然にはできないものです。この点、名古屋高裁平成24.9.29では、葬儀費用の負担について、「死者の追悼儀式に要する費用」については喪主が、「埋葬等の行為に要する費用」については祭祀承継者が負担すると判断しています。
このことからすると、やはり葬儀費用や弔事費用を相続財産から支払うことはできないことになります。ただし、相続人が全員合意をして、葬儀費用や弔事費用を相続財産から支出することに納得したら、これらの費用を相続財産から支出することができます。
話合いによる場合には自由に定めることができるので、葬儀費用のみを相続財産から支出することもありますし、これらの費用のうち一部を相続財産から支出するケースもあります。