療養介護をしていた場合の寄与分は、相続人が被相続人の介護を献身的に行った事実があり、そのために職業介護人を雇わずに済んだことなどにより、相続財産の維持形成に貢献したケースにおいて認められます。
近年では、高齢の親を介護する事例が多く、療養介護型の寄与分が主張されることが多いです。
しかし、親の介護をしていたからと言って、どのような場合でも療養介護型の寄与分が認められるわけではありません。
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寄与分が認められるためには、特別の寄与である必要があります。そこで、療養介護型の寄与分が認められるためには、通常の身分関係から期待される程度のものではなく、それを超えた献身的な介護があった必要があります。
たとえば、主に職業介護人を使っていて、自分は手の空いたときに手伝う程度、というようなケースでは寄与分は認められません。そうではなく、長女が結婚もせず働きにも行かずに足の悪い母親を長年介護し続けたというようなケースでは寄与分が認められます。配偶者の寄与も相続人の寄与と同視されるので、長男の妻が長年父親の介護を献身的に行ってきた場合にも、長男に療養介護型の寄与分が認められます。
また、介護の程度もポイントになります。具体的には、要介護度2以上の人の介護をしたケースでは、療養介護型の寄与分が認められる可能性があり、それより低い介護度では寄与分が認められるのは難しいです。