学資は、特別受益になる場合とならない場合があります。
学資とは、学費のことです。親が子どものために高額な学費を支出した場合などには、その学費援助が特別受益になるかどうかが問題になるケースがあります。一般的に、親には子どもの扶養義務があるので、特別受益が認められるためには、通常の身分関係から期待される以上の援助があったかどうかが問題になります。
まず、高校を卒業するまでにかかった学費については、基本的には特別受益に該当しないことが普通です。
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義務教育である小学校や中学校はもちろんのこと、現代では高校進学もほとんど当たり前になっており、高校への進学費用の支出は親の義務に含まれると考えることが一般的です。私立の学校などに通って特別に学費がかかったなどのケースには考慮の余地もありますが、通常のケースでは高校までの学費は特別受益として評価されないと考えるべきです。
次に、予備校や大学時代の学費を見てみましょう。
現代の日本社会においても、大学進学は誰でも当然に行う、ということまでは言えません.予備校代がかかる人もかからない人もいますが、予備校代も数十万円以上の高額になることが多いです。そこで、予備校や短大、大学、専門学校などの学費は特別受益と認める考え方も有力です。
ただ、これに対して、近年では大学進学率も相当上がってきていることなどを根拠に特別受益として認めない考え方もあり、これらの判断はケースバイケースとなります。特別受益性を認めるかどうかは、他の兄弟と不公平になっているかや、家庭の事情なども考慮して判断することになります。