特別受益の評価基準時は、基本的には相続開始時となります。ただし、貨幣価値については貨幣価値の変動に伴い、相続開始時の貨幣価値に換算した金額を採用する必要があります。
相続財産の評価は原則的に遺産分割時を基準としますが、これに対し、特別受益があった場合、基本的には、相続開始時の評価額によって計算を行います。具体的には、以下のようになります。
土地の場合、相続開始時の土地の時価を使いますが、相続が起こった年度の相続税路線価額を基準にすることもあります。
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建物の場合も相続開始時の時価で計算しますが、建物は経年劣化するので、贈与時の建物価格を相続開始時の建物価格に評価換えすべきという考え方もあります。
金銭については、基本的に相続開始時の時価を基準にしますが、昔と今では貨幣価値が異なるので、贈与額をそのまま用いると不合理なケースがあります。そこで、判例では、贈与された金額について、物価指数によって相続開始時の貨幣価値に換算する方法を採用しています(最判昭51.3.18)。
また、不動産を取得するための金銭を贈与した場合、それが金銭の贈与とは言いつつ、実際には不動産の取得目的であることが明らかな場合、不動産の贈与と同様の方法で計算することがあります。
動産の場合には、相続開始時の時価で計算しますし、株式や有価証券、ゴルフ会員権等についても相続開始時の時価を基準にします。