遺留分の放棄は可能ですが、相続開始前か後かによって、その自由度は異なります。
まず、相続開始前は、自由に遺留分を放棄することはできません。相続開始前の遺留分放棄を認めると、被相続人が相続人に不当な圧力をかけて相続人の利益が害されるおそれがあるからです。そこで、相続開始前に遺留分の放棄をするためには、家庭裁判所の許可が必要とされています。
家庭裁判所において、相続開始前の遺留分の放棄が認められるためには、以下のような事情が必要です。
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①遺留分の放棄が放棄者の自由な意思にもとづくこと
②遺留分を放棄する理由に合理性があり、放棄する必要性が認められること。
その他、遺留分の放棄と引換に何らかの(現金などによる)贈与が行われるなどの代償性があることなども考慮されます。
なお、相続開始前に遺留分を放棄したとしても、相続権が失われるわけではないので、遺産相続は可能です。
これに対し、相続開始後に遺留分を放棄することは自由に認められます。その方法としては、受遺者(遺贈を受けた人)や受贈者(贈与を受けた人)に対して遺留分を放棄する旨告げれば良いのですが、特に何もしなくても、1年の時効期間が過ぎると遺留分減殺請求はできなくなります。